しばらく抱きしめたままじっとしていると、頭を撫でられる感触がした。

蒼蝶は聡いところがあるから、誤魔化しても俺が泣いてるのが分かったらしい。

俺は蒼蝶に頭を撫でられながらしばらくその小さくて華奢な身体を抱きしめた。

「……蒼蝶、おまえ何があったんだ?」

気分が落ち着いてきた頃、俺は身体を離してから聞いてみた。

「何かって、何ですか?」

蒼蝶はまだ眠りから覚めきっていないのか、トロンとした目のまま首を傾げた。

「おまえ川原で倒れてたんだ。新選組で何かあったんだろ?」

「……。あの、シンセングミって何ですか?」

「は?」

新選組が何かって、本気で言ってんのか?

でも蒼蝶からは嘘を吐いているような感じはしない。

まさかと思って、確認するために幾つか質問をすることにした。

「あのさ、俺の名前は分かるか?」

「坂本龍馬さんです」

「ああ、そうだ。じゃあ、おまえの上司の組長さんの名前は?」

二つ目の質問を聞いた蒼蝶は目をキョトンとさせた。