……まさか、ずっとこのままじゃねえよな。

いつも看病しながら思うことだった。

蒼蝶の身体は死病に侵され、眠っていても確実に死へと向かっている。

このまま目覚めず、死んでしまったらと思うと、胸から底冷えするような恐怖が全身を襲った。

「水でもかえてくるか」

考えすぎて、これ以上気分が下降しないように、俺は水入りの桶を持って下の階に降りた。

そして部屋に戻ってくると、蒼蝶は目を覚ましていた。

でも今日は目を開けているだけじゃない。上体も起こしていた。

「蒼蝶」

名前を呼ぶと、蒼蝶は身体を微かに震わせて俺の方を見た。

「龍馬さん……?わっ!?」

嬉しさのあまり俺は水が入った桶を落として蒼蝶を力強く抱きしめた。

「よかった、本当によかった……」

「あの……、苦しいです」

蒼蝶が俺から離れようとするけど、それよりも強い力で抱きしめた。

「……龍馬さん、もしかして泣いているんですか?」

「バカっ、泣いてねえよ……」

本当は泣いていた。

男が泣くなんて情けねえけど、蒼蝶が本当に目覚めてくれたのが嬉しくて、涙が溢れてとまらなかった。