それからも俺は蒼蝶が目覚めるのをひたすら待った。
時折、時間をみて布を水に浸してまた額に乗せる。ひたすらそれの繰り返し。
蒼蝶の頬に手を当てて熱を計れば、まだ微かに熱い。
でも昨夜の高熱に比べたら大分よくなってる。
顔も幾分穏やかだ。
「おまえ……今度はいつ目を覚ますんだ?」
頬に触れていた手を髪に移動させ、今まで数回目を覚ました蒼蝶の姿を思い出す。
蒼蝶はわずかに目覚めては、また深く眠るというのを繰り返していた。
最初、目覚めたときは何があったのか色々話し掛けたが、蒼蝶は何も話さなかった。
いや、話さなかったというよりも、反応がなかった。
俺が話し掛けたり目の前で手を振っても、ぼんやりと天井を眺めるだけでまた眠ってしまう。
まるで動く人形だった。
ただ人形と違うのは、目覚めているときに水差しで少しずつ水を飲ませば飲んでくれること。


