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「龍馬、そろそろ休んだほうがええで」
部屋に入ってきた以蔵が言った。
でも俺はその言葉を無視して、蒼蝶の額の布を替える。
「龍馬」
「いて……」
頭をはたかれ、怪訝な目でみると以蔵は呆れたようなため息をついた。
「蒼蝶ちゃんが心配なのはわかる。でもな、このままじゃアンタも倒れてまう。ここ数日ろくに寝てないやろ」
「平気」
「何が平気や。たまに座りながら寝てんの知ってるんやで」
「……気のせいだ」
「その不自然な間で説得力はだだ下がりや。ほら、ウチが変わりに看病しとくで寝てきいや」
「……。もう少しだけ、いさせてくれ」
しばらくして以蔵は諦めたのか部屋から出ていった。


