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目を開けて最初に見えたのは闇だった。
どこまでも果てのない闇が続いている。
目を開けている筈なのに、真っ暗で何も見えない。
「ここは……どこ?」
そう呟いたとき
『蒼蝶』
と、名前を呼ばれた。
そして、背後から抱きしめられた。
「師匠ですか……?」
『うん』
ゆっくりと顔を後ろに向けると、本当に師匠がいて、私を抱きしめていた。
周りは真っ暗だけど師匠の姿だけはハッキリ見えた。
だからこそ、私は心から安心して大粒の涙がポロポロと溢れた。
「し、師匠~~……。わぁぁぁぁぁ……」
師匠の胸に泣きつくと、強く抱きしめてくれた。
『辛い思いをさせてごめん……。ごめんね、蒼蝶。僕を許して……』
私を抱きしめながら師匠は何度も謝った。謝る声は掠れていて、師匠も泣いていた。


