私の師匠は沖田総司です【下】

「遅くなりました」

「いや、いい。急に悪かった。とりあえず座ってくれ」

「はい」

部屋に入ると、重い空気は強くなった。平助も感じているらしく緊張しているようにみえる。

空いている場所に座ると、副長が静かに話し始めた。

話の内容はどれも耳を疑うようなものだった。

天宮が隊士を致命傷または死に至らしめ、屯所から逃げ出したというのだ。

「なんで……蒼蝶が……」

「信じられねえかもしれないが事実だ。それで、天宮を隊士殺しの罪で捕縛する」

捕縛という言葉に心が薄ら寒くなる。

副長からの話だけを聞けば、確かに天宮は捕縛対象になる。

だが、俺はどこか心のどこかで腑に落ちない部分があった。

会議が終わり、部屋に戻っても俺の頭の中は天宮のことでいっぱいだった。

目を閉じ、副長の言葉一つ一つを丁寧に思い出す。

天宮が手に掛けた隊士。そして近くには女中の艶子がいた。

その現場をみた副長が天宮を問い詰めたとき、天宮は分からないと言ったらしい。