つい大きな声が出てしまう。 「大声を出すな。 お願いだ。早く逃げろ。 このままだと、俺は悪に飲み込まれる。 飲み込まれたら、簡単にお前を殺すだろう。」 「じゃあなんで、 私をここに運んできたの?」 「お前をさらったのは俺じゃない。 巨人化の薬をいれたのも違う。 前の魔王がそう命令したんだ。 その魔王が消えた今、 不幸の塊が俺の体を飲み込みつつある。 お前はこれから、 誠の名を隠して生きろ。」