カラダ探し〜赤い人の怪談〜

転がるように階段を駆け下りて、一階に辿り着いた。


ここから廊下の突き当たりまで走って、外に出れば校門まではすぐ。


上履きだけど、この際そんな事はどうでもいい。


階段を下りている間、「赤い人」は追って来なかった。


振り返ってはならない……話として聞いていた時は、大して難しくないと思っていたけど、恐怖の対象から逃げている時に後方を確認出来ないのが、こんなに怖いとは思っていなかった。


私もそうだったけど、「振り返らなきゃ良いんだから大丈夫」なんて言っている人は想像力が足りない。


これはそんなに簡単なものじゃないと考えて廊下に飛び出した私は……信じられない光景を目にした。











「ひぃっ!」










一階まで下りたはずなのに……目の前に「赤い人」が目の前にいたのだ。


悲鳴を上げて、引き返す為に慌てて振り返りそうになるけど……なんとか踏みとどまり、「赤い人」に顔を向ける。


頭の中がぐっちゃぐちゃにかき乱されているような感覚。


不気味な笑みを浮かべてゆっくりとこちらに向かってくる「赤い人」。


何が起こっているのか、この状況はどういう事なのか。











一階に下りたはずなのに、今駆け下りてきたはずの階段がない!


「赤い人」が先回りしていたんじゃない。










私が三階に戻って来たのだ。