3つ星物語

男の子なのにゴツゴツしてなくて、やわらかな手。大きく私を包み込む。

いいなあ、南生は。無条件で彼のその手にいつでも触れることができるのだから。
 
私と同じ顔なのに――。

「あれ、玖生?」
 
突然、本当の私の名前を呼ぶ声がした。
 
そこですれ違ったのは、他でもない、大地だった。
 
目をまん丸にして、私を見ている。
 
――ぎくっ。私の身体に、電流が走った。

「お前、彼氏できたのか」
 
ちらり、と大地は伊津くんを見て、ぺこっと会釈をしてみせた。
 
それはこっちの台詞よ。この間あんたの彼女に絡まれたわよ。彼女、いたんじゃない。何よ、散々私に優しくしておいて……胆(はら)の中で言いたいことは山ほどあった。

「……あの、どちら様でしょうか」
 
私はうろたえるフリをした。私は今、玖生ではない。
 
すると大地はぽりぽりと頭を掻いた。

「ああそうか、えっと……南生さん?」