その男は突然、私達の前に現れた。




「スイマセン!、
 ここら辺にある神社って
 知りませんか?」

「神社?」
「笠原のこと?」
「いやいや、あの祠の分じゃないの」
「ここら辺て言えば、アソコですよ!」


 この娘達は一体全体、
どれだけの神社を知ってるのか。
 まあ、総て制覇すればいいから、
特に問題ないけど!


「うーむ?
 やっぱり、あれよう!」
「えーっ、まさか。」
「そうじゃないの?
 やっぱり、人に聞き合わせて
 訪ねてくるとこって。」

 思い思いに手渡された地図と
数色のカラーマジックの先の蓋
をそれぞれが握りしめ、若い女
子高生の織りなす会話の一つ一
つに合わせて×印が増えて行く。

 詳しい話もしながらなので、

「えーっと、神社の史実は
 こちらで調べるので、
 場所だけを教えてほしいな。」

と、その男が地図の上に付箋紙も
置いた。

途端に、私達は思い思いに印の上
付箋紙も付け始め、わかる範囲で
神社の面白い記事を書いていった。


あーでもない。こーでもない。
そーそー、それそれも・・・と。

地図には145箇所の×印と82
枚付箋紙に書き込まれたメッセー
ジで覆われていた。


「けっこう、いっぱいあるんだね!
 キミ達のおかげで助かったよ。」

「いえいえ、私達お役に立てて
 良かったです。」

「絶対に、情報を生かして楽しい
 マップにしてね!」

「じゃあね!イケメンのお兄さん!」



 この人にもう一度会うなんて思わず、
私達はそれぞれの家に帰った。