「香菜」
教室に戻る途中、後ろから名前を呼ばれた気がした。
振り返ると、すでに帰ったと思った翔太がいた。
「翔太、どうしたの?
もう、帰ったと思ってたよ」
「……………」
翔太には、いつもの笑顔はなかった。
そして、そのまま近付いて来た。
「何で、千葉と一緒にいるんだよ」
「へ?
翔太の代わりに校内案内しようかなって…」
「頼んでないから」
意味分からない。
何で、そういうこと言うの?
翔太が忙しいと思ったから、代わりに案内しようと思っただけじゃん。
「帰るぞ、香菜」
「え?千葉くんは…」
「俺は良いよ。
帰る前に職員室に寄らなきゃいけないし」
「そうなんだ…
じゃあ、また明日ね」
そのまま千葉くんとは別れ、何故か怒った様子の翔太と教室に戻ることになった。
短い距離、ほんの数分なのに、とても長く感じた。

