「幸子」
「………………」
ウサがさっちんを呼んだけど、さっちんはそれを無視した。
「無視するなよ、幸子」
「…うっさい!
幸子幸子言うな!」
さっちんが、大きくため息をついた。
「呼ばれたから行ってくるわ」
「じゃあ、わたしトイレ行こっと」
…え?
一瞬にして、翔太と二人になってしまった。
教室にはまだいっぱい人はいるのに、二人っきりみたいに思えて気まずくて…
「なぁ、香菜」
「っ!?」
翔太がわたしの机の前に回り込み、そのまましゃがんだ。
嫌でも視界に翔太が入る。
わたしは、顔を下げてしまった。
「こっち見ろよ」
「………っ」
「頼むから…
まじそういうの辛い」
翔太のぼそぼそ言う言葉が、にぎやかな教室の中に消えてしまいそうだった。
「…ごめんなさい」
ゆっくり翔太の方を見ると、それを見た翔太は笑ってくれた。

