笑って。



神楽が目をつぶってくれて、いいところだったのに。

あの教師が邪魔しやがった。


おかげで神楽は真っ赤になったまま外に出てしまった。



「...はぁ」

一つため息をついてから、神楽のあとを追う。


校門の外に出るまで神楽はこっちを向かなかった。

少し歩いたところでこちらを振り返ったけど、また真っ赤になって前を向いてしまった。



............やっぱりあのときキスしとくんだった。


まぁ。いいや。


明日からは普通に、一緒にいられる。

そう思ったら、今日キスできなかったくらい、と思った。



俺は神楽の家に彼女を送ることにして、着いていく。


隣を歩いてても、神楽は極力こちらを見ないようにしているようだった。


......んー、少しさみし。


家に着いて、やっと神楽はこちらを振り返った。


「えと...おやすみ?」

「ん。...家族大丈夫?時間だいぶ遅いけど」


さっきスマホで確認したとき、もう20時半を回っていた。

「あ、うん...どうせ今日、明日はみんな旅行に行ってるから」

「そか」

「......うん............」

「じゃあ、おやすみ。ちゃんと戸締りしろよ?」

そう言って背を向けると。

クイッと裾を引かれた。


「?」

振り返ると、神楽が下を向いて俺の服の裾を掴んでいた。


「どした?」

「......その」


言いづらそうにもごもごと口の中で喋る神楽。


「?」

首を少し傾けて、なに?、と伝えると


「あのっ、ひ、引かれるかも、しれないけど.........」

「?ひかないから、言ってみ?」

「.........その!」

意を決したように顔を上げ、そのままの勢いで告げた。



「家、寄ってきませんか!?」

「.........は?」

「その、まだ...一緒にいたいっていうか、家に1人は寂しいっていうか......その」



もごもご。

最後の方はもう何言ってるかわかんなかった。

けれど言いたいことはわかったから。



「...じゃあ、少し寄らせてもらうかな」


そう返事をした。