なんとなく1日を過ごして、いつの間にか放課後。


私は彼の電話に、行くとも行かないとも、何にも返事を返せないでいた。

メールを書いたとしても、送信ボタンが押せない。

電話なんて絶対に無理。


...............どうしよ。


私は、とりあえず屋上まで上がってみた。


本当は立入禁止の場所。

けれど、ドアは開いていた。



「ふぅ......」


はらはらと風に揺られる自分の髪が視界に入る。

...彼が、綺麗だと言ってくれた髪。



そんな彼に、裏切られた?

でも、彼は違うと言っていた。


...普通に考えたら、言い訳以外の何でもない。

けれど、何度も同じ言葉が送られてくるから、信じてみたいような気になった。



「.........いつまでも、か」


彼はそう言った。

いつまでも。


待っていてくれるなんて、嬉しいに決まっている。


けれど、いつまでもなんて待ってるはずない。


きっと、行かなければ諦める。




私は...また逃げるんだ。

彼から、私は逃げる。



私は、髪を抑えて屋上を後にした。

そのまま階段を下りて帰路につく。


図書室には、寄らなかった。