そして次の日の6時。
俺はカラオケの個室にいた。
「はーい!今日は盛り上がってこー!!」
そして馬鹿みたいに盛り上がってるのは亮。
正直帰りたい。
目の前にはそれなりに容姿の整った女子が5人。
けど神楽に比べたらみんなくすんで見えた。
みんなが思い思いのことを話し出す中、一人の女子が話しかけてきた。
「ねぇ、あなた響くんっていうの?あたしは亜衣。よろしくね?」
少しつり目がちの美人。
その目が『あたし可愛いでしょ?』的なことを訴えている。
典型的な自己中心女。
そういうような目をした女。
「...あぁ、よろしく」
一応形だけの挨拶をする。
するとそれを肯定ととったらしいこの女は、するりと俺の隣に腰掛けて、体を密着させた。
「響くんってかっこいいのに、こういう場所に来てるってことは、彼女いないの?」
女の手が膝の上にある俺の手を握る。
’’お前なんかより可愛い彼女がいる’’
そう言おうとすると、視線で亮が’’やめろ’’と告げてくる。
仕方なく俺は、女の手をやんわりと離して
「さぁ?」
と言葉を濁した。
すると、どういう風に理解したのか、女はもっと体を近づけて、腕に絡み付いてきた。
「...じゃあ、浮気?」
は?
そう声に出してしまいそうだった。
「...いいよ?私、それでも」
女の手が、不快に動く。
まるでもう俺がこいつのものだとでも言うように。
不快でたまらない。
「...俺だけじゃなくて、他のヤツとも話してきたら?」
「ふふ...じゃあそうするわ。...でも、気が合う人がいなかったら相手してね?」
もう来なくていい。
そう言いたかったけれど、笑顔を作って流した。