「……はいはい。
転びそうになったら
手、放すからね?」
茶化すように。
笑ってみせた。
そんな僕に、君は
頬を膨らませ、非難の目線。
繋がった手は
手袋のせいなのか
あたたかさを、感じられなかった。
*
「月が、綺麗ですね」
月を見上げて呟いた。
ちょっとした、意趣返し。
君が意味ありげな事を言ったから
僕だって、少しくらい。
意趣返しと、遠回しな告白を。
僕の言葉に君は
きょとんとした顔をして
空を見上げた。
ああ、やっぱり伝わらないか。
君は眼鏡を取り出そうと
コートのポケットに片手を入れて。
転びそうになったら
手、放すからね?」
茶化すように。
笑ってみせた。
そんな僕に、君は
頬を膨らませ、非難の目線。
繋がった手は
手袋のせいなのか
あたたかさを、感じられなかった。
*
「月が、綺麗ですね」
月を見上げて呟いた。
ちょっとした、意趣返し。
君が意味ありげな事を言ったから
僕だって、少しくらい。
意趣返しと、遠回しな告白を。
僕の言葉に君は
きょとんとした顔をして
空を見上げた。
ああ、やっぱり伝わらないか。
君は眼鏡を取り出そうと
コートのポケットに片手を入れて。