「気になってるんだ、ふーん。南斗のこと気になってるんだ」
「2回も言わないでよ!!」
ひーちゃんは真顔で私を見る。
「好きなのか?」
そんな単純な質問でさえ、私は戸惑った。
『好き』
その言葉で表すには何か足りない気がしてならないのだ。
「わかんない、好きかなんて」
「じゃあ、まだ違うんだな。いいんじゃないのか?別に好きみたいな言葉で表さなくても」
「え…?」
言葉で表さなくてもいいの?
「別に言葉に表すことが全てじゃない。それに、新美もわかるよ。いつの間にか、勝手に言葉にしなきゃならなくなるときがくるってこと。ゆっくりしてても、時間は進むんだから」
「なにそれ…ひーちゃんのくせに、生意気~!」
私は、少しだけ涙目になりながらバカにする。

