華麗なる安部里奈

「おいっ、やめろ!!!」

テッちゃんの大きな声がした。私も、ヒロキ君達も驚いて動きが止まる。


「ん? どうしたの? テッちゃん」

私は自分の濡れた髪を、頭を揺られて水を払いながらテッちゃんに尋ねる。



「ツヨシのやつ、里奈の顔を狙いやがって!」

「私は大丈夫だよ」


「いや、女子の顔を狙うなんて許せない!」

テッちゃんのそんな声が聞こえ、ツヨシ君はしばらく黙った後に話し始めた。



「あぁ、ごめん。顔を狙ったわけじゃないんだけど……たまたまな」

謝ってはいるが、半笑いというか、「まぁ、許してくれよ」というような言い方だ。



「たまたまで済むかよっ! 大体、里奈の事はあんまり狙わないって約束だっただろ!!」

テッちゃん、私の知らないところでそんな約束をしていたんだ。



「しょうがないだろ! 流れだよ。流れ」

テッちゃんに大声を出され、ツヨシ君のほうもやや興奮しているようだ。