「ただし?」

「そう、ただしだ。勉強をする日が1日減る分、習い事などは今まで以上に頑張るんだぞ。それに、里奈が安部家の一人娘である事には変わりない。その事はこれから里奈が大きくなっていくにつれて、もっと大事になってくると思う。その事は忘れないでほしいんだ」

父は真剣な表情で私に話す。



私も、自分のお願いを聞いてくれた父の頼みという事で、これまで以上に習い事を頑張り、安部家の一人娘である自覚を強く持とうと、小学五年生ながらに心に刻んだ事をよく覚えている。

「はい、分かりました」

私がそう答えると、父は笑顔で私の頭を撫でた。



「ありがとう、里奈。普通の女の子みたいに遊ばせてあげれなくてごめんね」

「ううん。わがまま言ってごめんなさい。私のお願いを聞いてくれてありがとう」

こうして、父との話し合いにより、習い事を1つ減らした事で、私は毎週金曜日にテッちゃんと外で遊べる可能性ができた。