テッちゃんは律子さんに言われた通り、宿題の準備を始める。

テッちゃんが律子さんに叱られ、それまでお祭りのような騒ぎで行われていた『ドラキュラ時計』ごっこが、いつの間にか終焉を迎えていたため、アッちゃんは呆然と立ち尽くしていた。

「じゃあ、俺は宿題やるから……」

「テッちゃんとお庭で遊ぶ約束をしていたの。宿題はその後じゃダメ？　律子ママ」

庭で遊びたかった私は律子さんにお願いする。



「お庭で？　でもそろそろ暗くなりますよ」

律子さんの言う通り、ごっこ遊びに夢中になりすぎて、外はもう陽が落ち始めている。時計を見るともう午後５時になろうとしていた。


「でも、まだ遊びたい」

「困りましたねー。哲也にはやらないといけない宿題があるから……。敦也ともう少しここで遊んでいたらどうですか？」

律子さんはアッちゃんのほうをチラッと見て私に聞いてくる。その言葉が聞こえたのか、アッちゃんが私のほうをキラキラとした目で嬉しそうに見つめてきた。



「アッちゃんじゃ子供だし、つまんないよ」

私がそう言うと、律子さんは笑いを堪え切れないといった感じで口に手を当てて笑った。

「ふふふっ。敦也はお嬢様にフラれちゃったわね。残念」

アッちゃんは口を尖らせて不満そうな顔をする。