華麗なる安部里奈

私は引いていた手を離すと、振り返ってテッちゃんのほうを見た。

テッちゃんは2人きりという状況で照れくさかったのだろう。すぐに目を窓のほうへ逸らした。


「テッちゃん……」

「ん?」

テッちゃんはこちらを見ずに答える。


「今日はごめんね」

私はテッちゃんのほうを見つめて言った。

「ん……べつに良いよ」

テッちゃんはずっと窓のほうを見たまま、目をこちらに向けないでいる。




「テッちゃんのせいで噴水に落ちた事になっちゃったね……」

「あれは俺が勝手に言った事だし」


「なんであんな事言ったの? 私がお父さんに怒られないようにするため?」

「んー、分かんない」


「テッちゃん、お父さんに怒られた……?」

「んー、ちょっとだけ」

テッちゃんは自分が庇ったという事が照れくさいのか、答えも適当な感じだった。