華麗なる安部里奈

夜9時過ぎともなると、さすがに屋敷内のいくつかの部屋以外は電気が消えていた。もう、屋敷内で働いている人間も、ほとんどは仕事を終えて自分の部屋に戻っており、屋敷は昼間に比べて静かだった。

窓の外は暗くて、虫の鳴き声が聴こえてきている。

私は窓が並ぶ廊下を、テッちゃんの手を引いて自分の部屋へ向かった。部屋に行って、何を話すかなどは決めていない。ただ、テッちゃんと大人の居ない所で話がしたい。



部屋に向かう途中、手を繋いで照れくさかったのか、私の悪戯の件があって話しづらかったのか、テッちゃんは一言も言葉を発しない。

私も、部屋に行ってから話そうと思っていたため、廊下では何も話す事はできなかった。



部屋のドアを開け、私とテッちゃんは部屋に入る。そしてカチャッと静かにドアを閉めた。