華麗なる安部里奈

「里奈、今テッちゃんが話した事は本当かな?」

「えっ!? いや……」

私が口を開こうとすると、テッちゃんが割って入る。

「本当です、ごめんなさい!」



「今は里奈に聞いてるんだよ。テッちゃんはお口にチャックをしないとダメだよ」

父はそういうと、口をチャックで閉じる仕草をした。それでも、テッちゃんは話し続ける。



「僕が里奈を押して落としました、ごめんなさい」

父は正十郎のほうをチラッと見て、「どうする?」というような表情をした。すると、正十郎が口を開く。



「それでは、旦那様。お嬢様が噴水に落ちた原因は哲也にあるようなので、部屋に戻って、哲也にお説教したいと思いますが、よろしいでしょうか?」

正十郎の言葉を聞き、父は再度テッちゃんに聞く。


「テッちゃん、今からお父さんに怒られる事になるけど、本当に良いんだね?」

「はい……」



「里奈も、それで良いんだね? 何も話す事はないね?」

そう言われた私はテッちゃんのほうを見た。すると、テッちゃんは「黙っていろよ」というような険しい表情を浮かべ私を見ている。

私はそのテッちゃんの気迫のようなものを感じたせいか、そのまま黙って頷いた。