華麗なる安部里奈

「それじゃ、哲也も敦也も頂こうか」

正十郎がそう言うと、3人は「いただきます」と言い、カレーライスをそれぞれ口に運んだ。正十郎は一瞬「うっ」という顔をしたが、そのまま何事もなかったように食べ続ける。

「なんかこれ……」

アッちゃんは何かを言いかけたが、正十郎のほうを見ると、そのまま黙々とカレーを食べ続けた。



やっぱり、美味しくないんだな……。私には律子さんの味を再現する事はできないのだろうか。でも、律子さんが居ないのだから、私が作るしかない。私は心の中でそのような葛藤を重ねていた。

すると、その時、

「まぁまぁかな」

とテッちゃんが言い、一気にカレーを食べ始めた。



私の気のせいかもしれないが、テッちゃんの目には涙が浮かんでいた。それが、カレーの味のせいなのか、私が律子さんの味を再現しようとした事に対しての気持ちなのか、その時の私には分からなかった。