華麗なる安部里奈

『手術中』と点灯した手術室の前で、私達は1時間ほど待った。

「お母さんに"頑張れ"って言ってあげてくれ。哲也と敦也の気持ちがきっと届くはずだから」

正十郎は自分に言い聞かせるように、そしてテッちゃん達を安心させるように言っていた。



「律子ママ……頑張って……」

私も声にならないような声を振り絞り、そんな事を言いながら、律子さんとの今までの事を思い出していた。そして、この前借りたシュシュをまだ返せていない事を思い出す。

私は急いで、屋敷の人に連絡をして、シュシュを持ってきてもらう事にした。

律子さんにとってお守りのような存在であるあのシュシュがあれば、律子さんはきっと元気になってくれる。私はそう思っていた。



それから20分ほどでメイドの坂下さんが、屋敷からシュシュを持ってきてくれた。