「そのシュシュは、私が大学時代に着けていたものなんですよ。それでね、私は大学時代に正十郎さんと知り合ったんですけど、私のこのシュシュが可愛いって褒めてくれたんです」

「えー、そうなんだぁ。それでそれで?」

その時はまだ少し熱があったはずなのに、話の続きが気になった私はベッドで上半身を起こす。




「それで、私はこのシュシュをデートには必ず着けていきました。それからしばらくして、付き合う事に……」

「きゃー、すごい!」


「だから、このシュシュはね。私にとってお守りのような、幸運のアイテムのような、そんな物なんですよ」

「そ、そんな大事な物を私が着けても良いの?」


「お嬢様の風邪が早く治るんなら。そのほうが嬉しいです」

「わぁ、ありがとう! それで、2人が付き合う時、正十郎はなんて言って律子さんにお願いしたの?」


「付き合う時ですか? あの時はたしか……"律子さんが居ないとダメなんです"みたいに言ってくれたんだったかな」

そう言うと、律子さんはちょっと恥ずかしそうな表情を浮かべた。