華麗なる安部里奈

私達が目を向けた先には、1人の初老の男性の姿があった。

紳士的で、とても頭の良さそうな雰囲気。頭にはハンチング帽を被り、白いポロシャツにグレーのズボン、手には赤いステッキを持っている。老人のわりにはかなりガッシリとした体格で、姿勢も良い。



老人は続けてこう言った。

「君達、危ない事はしちゃいかんよ」

突然、大人に注意をされたため、猪本は少したじろいだ様子で言い返す。

「あぁ!? なんだよ、ジジイ。関係ないだろ」



「怪我をしたら大変だよ。もうそのへんでやめておきなさい」

「ちっ、うるせージジイだなぁ。大体なぁ……」

老人に悪態をつき始めた猪本だったが、そのおじいさんのほうを見ているうちに、次第に顔色が悪くなっていくのが分かった。