これで勝負が決まる。




そう思った時だった。


ぐらりと視界が揺れた。


「おわっ」


その瞬間襖が開き嶋崎先生と誰かが入ってくる。


「嶋崎先生、あぶなーい!!」


ズササーと間抜けに派手にこけた私。


「あれ……………」


私の下に誰か居る。

私はそっと起き上がり下を見た。


「いたい」


そこには後頭部に手を当て涙を浮かべる女の子。


「うわああああ!!ごめんなさい!!」


おもかったよね、絶対。

私の下に居たのはなんとも綺麗な女の子。

漆黒の綺麗な髪を高く結って。

陶器の様な白肌。

上気した様な頰。

大きな瞳は黒目がちで。


か、可愛すぎる♡

私がじーっとその子を見ていると目を潤ませる。


「ぅ、ごめ、なさい……………」

「ああ、泣かないで!!こっちこそごめんね、痛かったでしょ?」


潤む瞳に罪悪感が増す。

ど、どうしよう。

こんないたいけな子泣かせるなんて最低じゃないか私。


「おいおい、大丈夫か雪?」

「嶋崎先生、申し訳ありません。お怪我はありませんか?」

「ああ、俺は大丈夫だぞ。それよりドジだなあ、雪は」

「う、言い返す言葉もございません」


ハッハッハッハッと愉快そうに笑う嶋崎先生。


「時に、この子は?」

「ああ、そうだ、紹介しようと思ってな」


私が起き上がると女の子もふらふらと起き上がった。

大丈夫かな、本当に。


「今日から食客として此処に入ることになった沖田宗次郎くんだ」


ぺこり、と頭を下げる女の子。


「ちなみに歳は雪より五つ下だ」


ということは九つになるのか。

え、まって、まって嶋崎先生。


「沖田宗次郎“くん”でしたっけ?」


ああ、そうだ、仲良くするんだぞ、と頷く嶋崎先生。

トシちゃんは顔見知りだったのかその子の頭をがしがしと撫でていた。

混乱しているのは私だけでしょうか。


「彼は沖田ミツさんの弟だ」


ああ、ミツさんのね、うん。

“弟”……………。

ってことは


おとこおおおおおおおおお?!

我ながら反応が遅い。


いや、でもそれくらい吃驚している。


こんなに可愛いのに?

うっそでしょ。