浅葱の雫

暫く彼を抱きしめたまま時を過ごした。


うとうとしていた私は嶋崎先生の声で目が覚めた。




こんな時に寝かけるなんてどんな神経してるんだ私は。


「ただいま、雪、宗次郎」


そう言って微笑んだ嶋崎先生に先程までの不安が和らぐ。


「おかえりなさい、嶋崎先生。お疲れ様です」


お出迎えできなくてすみません、と頭を下げると嶋崎先生はいいんだよ、そんなこと、と言って豪快に笑った。


「それで、宗次郎はどうしたんだ?」


いつの間にか宗ちゃんは私の膝ですーすーと寝息を立てていた。


「泣き疲れちゃったみたいで」

「泣き疲れた?」


私は頷くと事の成り行きを説明した。

嶋崎先生はそうか、と宗ちゃんの頭を撫でる。

その表情は悲しそうだった。


「おミツさんに会ったんだな」

「ええ、とても嬉しそうにしていたんですが」


嶋崎先生が宗ちゃんの頰に残る雫をそっと掬いとった。

そして表情を曇らせる。


「辛かったろうに……………」


悲しみを含んだ声だった。




宗ちゃんが雨や雷や暗闇を怖がる訳を嶋崎先生は知っているのかな。


知っていたとしても、聞いていい話?