ありゃ?


時計を見るとまだ12:30だった



ちょっと張り切りすぎたな…



「ひゅうちゃん!」


ん?

後ろを振り向くと小柄な女の子が立っていた


「美優?」


「あ、やっぱひゅうちゃんだぁ!」


そう言ってこっちに駆け寄ってくるのは俺の幼なじみの


天童 美優 - Tendo Miyu-


年はひとつ下で今は中3


染めてない色素の抜けた茶に近い髪の毛が目立つ




「おう、美優、久しぶりだな」


「ほんと久しぶり!

ひゅうちゃん、またカッコよくなったねぇ!」

「なってねぇよ」



他の女にこんなこと言われたら無視するけど、美優に言われて無視しないのは

そこに下心がないから



美優には愛しの彼氏くん♡がいるらしいし



いつか『彼氏できたぁー!』と家に押しかけてきたのを覚えている



まぁ、美優も可愛いしな




もちろん東条の方が可愛いけど?



「ひゅうちゃん、案内してよ!」


「俺、これから約束あるから無理」




「えー!ちょっとだけでいいから、ね?」



「無理」



「どうしても?

私、今日ひゅうちゃんに案内してもらえばいいやと思って、一人で来ちゃったの…



だから、お願い!」



げ…まじかよ



まだ12:40だし…



「少しだけ、な」



「わぁ、やったぁ!」




そして俺は美優と"少しだけ"文化祭を回ることにした