「うぅ…高野くんの、バカぁ…っ」
気づけば高野くんの姿はもう見えなくなっていて
私は1人泣いていた
周りの目なんか気にせずわんわん泣いた
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少しずつ涙は収まり、頬も乾いてくる
壁にかかっている時計は16:55を指している
17:00で文化祭は終わり
あと5分で何もかも終わってしまう
あと五分ここで待っていたら高野くんは来てくれるだろうか?
「わりぃ」って言って来てくれるだろうか
…そんなこと、ありえないよね
あんなに楽しそうに笑ってたんだもん
こんな小さな約束思い出すわけないもんね
《みなさん、五時になりました。
これで文化祭は終了です。
この後は、各自下校してください。
片づけは休み明けの月曜日にやります。
それでは、土日はゆっくり休んでください。
お疲れ様でした。
さようなら》
プツっと言って放送が切れた
文化祭、終わっちゃった…
結局わたしはベンチで4時間も高野くんのことを待っていた
ほんとバカみたい
最初から望みなんてなかったのに
なんで好きになっちゃったのかな?
時折見せてくれる笑顔も優しさも全部特別な気持ちなんてなかったのにね
って、何考えてんだろ、私…
『5時まで待ってたけど、用事があるので先に帰ります。ごめんなさい。
愛花』
私はいちおう紙にそう書き、目立つようにベンチの上に置いておいた
多分…こないと思うけど
ゆっくり立ちあがって、重い足取りで教室へ向かった