「今日の練習はこれで終わりだ。
夏休み中の部活はほとんどない。
だから各自しっかり自主練をしておくこと。
それと、夏をしっかり楽しむように」
顧問の先生が言った
"夏をしっかり楽しむように" か……
「ありがとうございました、さようなら!」
部長の声でいっせいに人が散っていく
「愛花、帰る?」
「あ、うーん、少し残ってくよ
宮ちゃん先帰ってて?」
「そっか、わかった
これから夏休みだから会えなくなるけど、たくさん遊ぼうね」
「うん、もちろん!
じゃ、ばいばいっ」
私は宮ちゃんとばいばいして自主練を始めた
隣のコートでは男子も数人残っていた
___________高野くんだ
将也たちと楽しそうにバスケをする高野くん
動くたびに綺麗に動く黒髪
気づけば目で追っていて、心臓もトクトクと騒ぎ始めていた
だめだ
もう高野くんは諦めるんだ
考えるな、考えるな……
私は視線をリングに移し、シュッとボールを放った
そのボールは綺麗な弧を描きリングに吸い込まれた
その瞬間
ビュウッ
と風が吹き抜けた
_____あぁ、夏がくる


