少ししてから、ベッドの横に置いてあるパイプ椅子に彼は座った。


「ここに来る前にさ、家の前のおばあちゃんところの犬に会ったんだ。
相変わらず人懐っこくて可愛かったよ」


「そっか…、久しぶりに会いたいなぁ…」


小さく呟いてみる。


自分がどれくらい生きられるか、なんて自分が一番分かっている。


だから、せめて、彼の前では弱いところを見せたくない。


最後の意地かもしれないね。