ベルナ


おまえがこれを
読んでいるということは、
わたしたち両親は、
もうこの世にはいないんだな。
いずれこうなるとわかっていた。
すまない。


突然だが、
わたしたちはおまえの
本当の親ではないんだ。
おまえの本当の親は、
おまえを守るために、
幼かったおまえを
わたしたちに託した。
今まで黙っていてすまなかった。


それと、剣の横の箱に、
父さんが昔使っていた
防弾チョッキがあるはずだ。
なかなかの代物だから、
大事に使うんだぞ。


おまえは正義感が強いから、
サハールに行くと思う。
だが、人間は生きてなんぼだ。
わたしたちの仇なんていいから、
ベルナには生きて欲しい。
それがわたしたちと、
おまえの本当の親の願いだ。


最後に。
わたしたち夫婦は、
おまえを心から愛している。
おまえも同じ気持ちだと嬉しい。
さようなら、元気で。


父アーベル、母ナナ