海岸に向かう途中では、
近所の漁師さんたちにたくさん会い、
おめでとうと口々に言われた。


パラマでは漁が盛んで、
すべての家に海図が配られている。
その海図には、わたしが住むパラマと、
サハールと、ほぼ未開拓と言われる
ガルシアという島が書いてあった。


わたしは小さな頃から
海図を見るのが大好きで、
地図を読むのも得意。
今までで道に迷った試しがない。


海岸に着くと、
お父さんと叔父さんの姿が見えた。
なにか言い争っているみたいだった。


ーえー、どうしよう…。
呼ばないわけにもいかないし…。


とりあえずわたしは、
大声で叫んでみた。


「おとーさーん!叔父さーん!」


わたしの声に気づいた二人は、
わたしに近づいてきた。


と、そのときだった。


《ゴオオオオオオオオッ》


ー!?!?


すごい音を立てながら、
超巨大な飛行機がパラマの空をおおった。
その飛行機は明らかに旅客機ではなく、
どす黒くて、翼の裏側には
なにかのマークがあった。


ーどこかで見たことある……!


《パンパン!》


ー…え?銃声…?


音のした方を見ると、
拳銃を持った叔父さんがいて、
お父さんは地面に倒れていた。


「!?お父さん!?」


わたしは夢中でお父さんに駆け寄った。


「お父さん!?お父さん!?」


お父さんの頭を抱きかかえると、
お父さんはうっすらと目を開けて、
消えそうな声で言った。


「サ…ハールに…行っては…いけない…」
「……え?」


ーサハールに…?


「ごめんねえ、ベルナちゃん…。」
「!?」


振り返ると、叔父さんが立っていた。


《バキッ》


ーうっ…


わたしは叔父さんに殴られて、
気を失った。