情報屋は急に黙り込んだ。


ーどうしたんだ……?


「……僕、君たちとなら、勇気を出せる気がするよ。」
「え?」


黙り込んだと思ったら、
今度は唐突に変なことをいう。


頭いいやつの考えてることは
よくわかんねえなあ。


「それって……?」


ベルナも理解できなかったらしく、
情報屋に聞き返す。


「僕も君たちと一緒に戦うよ。」
「「!?」」


ーおいおい、本気かよ……


こんな頭でっかち、
絶対実践向きじゃねーだろ…。


俺はふとそんなことを思ったが、
ベルナは手を叩いて喜んだ。


「嬉しい!!あなたみたいに作戦とか立てられそうな仲間は頼りになるわ〜!」


急にベルナが大きな声を出したから
俺はびくっとした。


ー……どんだけ嬉しいんだよ。


ベルナは、今まで俺が見た中で
最高の笑顔を情報屋に向けていた。


《もやっ》


ー…………ん?


なんだ?「もやっ」て……。


初めての感覚だった。
イライラに似た感じ。
言葉にはできないような…?


「あ!そうだ!」


ベルナが何か思いついた。


「あなた、名前は?」
「ああたしかに。名前は何て言うんだよ」


俺は得体のしれないイライラのせいで
若干情報屋に当たっていた。


「名前は…教えたことないんだ。」


ーえ、なんで?


「もしも自分たちが研究所に捕まった時に、僕のせいにできるでしょ?そのときに名前を教えとくとすぐに僕だって特定される。だからって、いちいち偽名を考えるのも面倒。だから教えないの。」
「じゃあ、なんて名乗ってるの?」
「情報屋。」
「……ふーん。」


ベルナはなにか考え始めた。
そして、思いついたように
手を一度叩いて、


「じゃあ、ジョンって呼ぶわね!」
「……へ?」


ー唐突だなあ。しかもジョンて…


情報屋もきょとんとしている。
どっからジョンがでてきたのか
わからないからだろう。


「情報屋のじょをとったの!」
「変な由来だな。」
「……ジョン…。」


情報屋はなぜか、嬉しそうに笑った。


「じゃあジョンでいいよ。」
「やったあ!採用〜♪」


ベルナも嬉しそうだった。


「じゃあ、よろしく!ジョン!」
「うん、よろしく。ベルナ、オーロ。」
「……よろしく。」


新しい仲間ができた。