クリスタルについてね。


クリスタルは、
それを持っているだけで
この世界の支配者になれる
っていうぐらい価値が高い『宝石』で
20年前に起こった世界戦争の
原因になったものだよ。


でもね、その肝心なクリスタルは、
世界戦争中に7つに
砕けちってしまった。


サハールにあったときに砕けたから、
7つの破片のうち、
5つは国内にあった。


6つ目は最近、
ガルシアで見つけたって聞いた。


でも7つ目だけが見つからない。
しかもその7つ目には、
クリスタル同士がくっつくために
必要な部分が含まれていたらしい。


その部分は
クリスタルコアと呼ばれている。


クリスタルコアがなければ、
真のクリスタルができないから
研究所は必死に探し回ってるんだ。


「ここまでいい?」
「ええ。」


そして、
クリスタルコアが見つからないのも
クリスタルを集める上で
かなりネックなんだけど、
もうひとつ、
収集が大変な理由がある。


クリスタルは常人には触れないんだ。
触った途端に皮ふが溶ける。


だから、
奴隷がガラスケースに入れるんだ。
人間の皮ふ以外は溶かさない。


「…常人には、ってことは、さわれる人がいるの?」


ああ。
正確には「いた」かな。
その人は奇術師と呼ばれていた。
俗に言う魔法使いみたいな。


奇術師は、
クリスタルのある場所を
感じ取ることもできたし、
触ることもできた。


そしてその奇術師には
子どもがいたらしい。
しかも2人。
双子だったんだ。


片方は行方不明。
もう片方は研究所にいる。


その双子には奇術師の能力が
半分ずつ遺伝したらしい。


奇術師は、
触れる方をどこかに隠したんだ。
それがどこかはわからない。


これは僕の憶測だけど。
僕はパラマが怪しいと思ってる。


「!?…どうして?」


最近サハールの軍隊が、
パラマから大量の捕虜を
捕まえてきたんだ。


たぶん、研究所にいる片割れが
パラマで気配を感じたんだよ。
クリスタルコアの。


だからきっと、
触れる方が、パラマにいたんだ。
その子がクリスタルコアを持ってる。


「…わたし、パラマ出身だけど、そんな子いなかったと思う。」
「パラマ出身!?」
「…ん?俺の母親の預言によると、クリスタルコアを持ったベルナって女がサハールに来るって……」