ここは、パラマ。
世界に人が住む国は
2つしかないと言われているが、
そのうちの1つだ。


20年前の世界戦争で、
陸地はほとんど焼けてしまって、
人の居住が確認されているのは、
今のところここパラマと
サハールしかないらしい。
そしてどちらも島国だ。


今日はわたしの20歳の誕生日。
お母さんは朝から張り切って、
ケーキを作っていた。


「おかあさん…おはよーう…。」


わたしは目をこすりながら
朝の挨拶をして、
リビングにあるソファに腰掛けた。


「ベルナ!おはよう!」
「お母さん…元気だね…」
「お母さんねえ、ケーキ作っちゃった!」


お母さんはにこっとわらって、
わたしの頭をなでた。


「えー!ほんとー!?嬉しい!!」


ー…あれ?


リビングにお父さんの姿がなかった。


「お母さん、お父さんは?」


お母さんはケーキを作る手を休めて
窓の外を見ながら、


「デルタさんのお迎えに行ったみたい。
今日はベルナの20歳の誕生日だから、
お祝いに来てくれたのよ。」
「えっ、デルタ叔父さんが?」


デルタ叔父さんとは、
わたしのお父さんのお兄さん。
正直言うと、
わたしはデルタ叔父さんが少し苦手。
何を考えてるのか
わからないところがある。


「でもちょっと遅いのよねえ…。
ベルナ、海岸まで
見に行ってきてくれない?」
「えっ!わたしが!?」
「あなたの誕生日でしょ?」
「えー。」


ーやだなあ…。


わたしはしぶしぶ海岸に向かった。