「おい、これからどうすんだ?」
「宿を探す。」
「宿?密入国者を泊めてくれる宿なんてあんのか?」


たしかに、それは言えてる。
でもわたしには、1つ策があった。


「オーロ、その服はどこで手に入れたの?」
「あ?これか?これは俺の叔父さんに着せてもらったんだよ。」
「そう…。」


『叔父さん』という言葉に
心臓がはねた。


「たぶん、その服なら怪しまれない。」
「なんで?」
「…なんとなく。」
「おいおい…。」


でも、これしかない。


「おねがい!」
「…無謀すぎじゃね?」


なかなかオーロはのってこない。
まあそれもそうか。


「だけど、野宿するわけにも…。」


ー困ったな…。


わたしたちが途方に暮れていると、


「なんか困ってんの?」
「「!?」」


バッと後ろを振り返ると、
そこにはわたしたちと同い年ぐらいの
男の子が立っていた。
男の子は茶色いマントを着て、
顔の上半分はフードに隠れていた。


いかにも怪しかった。


「……あなたは?」
「情報屋さ。」
「情報屋?」


わたしたちは首を傾げた。


「その様子を見ると、寝床に困ってるんじゃないの?」


ー!


図星だった。
するとオーロが、


「そうなんだよ〜!宿探してんだけどさ、どっかいいとこない?汚くていいんだ。密入国者も泊めてくれそうな…」


ーな!?


《ポカッ》


「イテッ…なんだよベルナ。」
「あんたっ、密入国ってバレたら…」


あ。
これ、わたしも失言した。


「ふふ。密入国者ってことぐらいわかるよ。僕の家においで。」
「…密告するつもり?」


わたしはまだ彼を信じていない。
寝込みでも襲われたら
ひとたまりもない。


「僕は、研究所にとって邪魔な人間なんだ。君たちと同じ。」
「研究所?」


なんの話かわからなかった。


「研究所を知らないの?クリスタルのことは知ってるよね?」
「わたし、クリスタルのことよく知らないの。」
「俺は見たことあるぜ!」


わたしとオーロの言葉に、
そいつは驚愕した。


「そんなやついるんだ。じゃあなんでここに来たの?」
「わたしは、仇討ちにきたの。」
「俺は人探し。」


情報屋は、やれやれと言って、


「とにかく屋内に入ろう。警備の奴らが戻ってきちゃうよ。」


わたしはこれまでの会話で、
こいつは敵でないと判断した。
重たい荷物を背負って、
情報屋の住処まで歩いた。