「見えた!あれじゃね!?」
「…ええ。あれがサハールだわ。」


船を走らせること2日。
ようやく島が見えてきた。


「けどよ、どうやって入るんだ?」
「そうね、それが問題だわ。」


双眼鏡を通して見たところ、
港にはたくさんの見張りがいた。
港から入るとすると、
戦闘は避けられないだろう。


「島に入ってすぐに騒ぎを起こすのはよくないと思うの。とにかく穏便に…。」


ー…はあ。


理想ばかりで、
作戦がまるで思い浮かばない。


「ぶっちゃけさあ。船で入ろうとするから目立つんだよな。」
「…」
「泳いで見張りの目をかいくぐればなんとかなるんじゃね?」
「…」


ーえ、たしかに。


「オーロ!あなたってただの筋肉バカじゃなかったのね!!」
「なっ、筋肉バカってなんだよ!」
「ある程度近くまで船で行って、そこから泳ぎましょう!」


わたしはグッと船を旋回させた。