「「……」」


ー…なんか、気まずいなあ。


「あのさ!ほんとに銃の腕前すごいのね!」
「あ?ああ、まあな。毎日猟してるから。」
「え?漁で銃使うの?網は?」
「銃は当たり前だろ。網よりは檻かな?」


ーん?なんか、噛み合ってないぞ?


《ありがとう》


ー!?


また、あの声だ。
どうやら、
くじら?は助かったらしい。


「あなた、くじらなのー??」
「うわっ、びっくりした!なんだよ、急に。くじら?」


オーロは目をぱちくりした。


《そうだよ》


ーへえ!そうなんだ!


「もう捕まっちゃダメだからねー!」
「まったく。」


《うん、いつか恩返しするよ》


《《ザバーーンッ》》


「「!」」


わたしたちの乗る船の目の前で
くじらの大きな尾びれが
海面から顔を出した。


「…おまえ、ほんとにくじらと?」
「え?うん。」
「え、おまえ何者?」


ー…たしかに。


くじらと話せるなんて普通じゃない。
今まで動物と話したことなんて
一度もないのに、なんだったんだろ?


「まあいっか!おいベルナ。おまえの生まれ故郷はどこだ。送ってく。」
「…え?」


オーロはせかせかと支度を始めた。