分裂世界の緋色姫


「ナツキぃ…嘘だ…」

目からまた涙が落ちる。

フローリングの床に小さな水溜まりができる。

学校の寮にしては広すぎる部屋のいちばん奥にある小さな写真。


ナツキと二人で撮った中学の入学式の写真。

今アスカがいる場所からその写真は届かない。


ナツキは、自分の手の届かない所に言ってしまった――


無意識に右手を見つめる。

「…ぅ、ナツキ…」

―私はこれを見て、自分の罪を思い出すべきなんだ。一生…


アスカが足に力を入れて立ち上がろうとした時。


ピンポーン…


耳に響くようなインターフォンの音。

アスカは一瞬硬直したが、すぐに自嘲するような笑みを浮かべた。

「…警察だ…警察…が…私を…」