分裂世界の緋色姫


「はぁ…はぁ…」

走り疲れ、足を止める。

どの道を通ってきたか、全く覚えてない。

目の前に聳え立つのは、見慣れた寮だった。


頭はパニックでも、体は自然に通い慣れた場所に向かう。

それを実感した。

アスカは寮のおばさんに軽く頭を下げると、フラフラと女子寮に向かった。


エレベーターの"5"と表示されたパネルを乱暴にタップし、その場に座り込む。

「…嫌だよ…ナツキ…」

アスカを運ぶ直方体型の箱はあっという間に停止した。

ゆっくり開くドアを両手で無理矢理開き、自分の部屋に向かう。

途中、すれ違う生徒が不思議そうな顔で見つめてきたが、構わず走り続ける。