分裂世界の緋色姫


アスカは震えながら自分の右手を見つめた。

手のひらには赤黒い液体がべっとりとついている。


「いっ…嫌ぁぁぁあ!!」


アスカは落ちているカバンを血だらけの右手で乱暴に掴むと、無我夢中で走り出した。


何度も、何度も、何度も頭を横に振りながら。


―あれは…ナツキ?

―私が立ち止まったから?

―私のせい?


次々に浮かぶ疑惑。


「イヤ、イヤ、イヤ、違う、違う、チガウ、私のせいじゃ…あ゙あ゙ぁぁぁぁあ!!」


―ナツキナツキナツキナツキ

―死んだ死んだ死んだ死んだ

―イヤイヤイヤイヤイヤイヤ

―まだ一緒にいたい

―ナツキ…!!

「うっ…ぅああ!」

ボロボロと涙を流しながらとにかく走った。

音楽プレーヤーが無くなったことなど、気がつかなかった。

足が潰れるまで――潰れても―――