分裂世界の緋色姫


「ちょっ、うそっ!!」

アスカは先に落ちてきた棒を体を捻り、ギリギリの場所でよけた。

しかしその上からは重力で加速した看板が落ちてきている。


―逃げなきゃ、逃げなきゃ、逃げなきゃ、逃げなきゃ

そう分かっているのに、体が動かない。

足が地面に張りついているようだ。

ガタガタと足が震える。

アスカは顔を引きつらせた。

「ひっ………」

もう見上げる顔の近くに看板が迫る。


―もう、ダメだ。

「ぃっ、嫌ぁぁぁぁああ!!」


アスカは両手で頭を押さえてしゃがみこんだ。


「アスカ!!」

後方からの誰かの声。

しかしアスカにはもう確認する余裕はなかった。

あとは落ちてくる看板が自分を潰し、無惨な形にするだけだ。

目から一粒の涙を溢した。


―まだ、生きたかったよ…