「どうしたの? 最後の方聞こえないけど?」




「だ、だって…、お、王子が…」


王子?

あーーーっ!


思い出した!



同じクラスの山崎海翔だ!


白馬の王子って呼ばれるほどのイケメンなんです。


「あぁ! 同じクラスの山崎海翔くん!」


海翔くんはちょっと休みがちで忘れてたー。



「ん? あんた同じクラスの『かぐや姫』?」


うっ。


私はこの学校でなぜか『かぐや姫』って呼ばれる。


最初はクラスの女子が呼ぶ程度だったんだけど、いつの間にか学校全体に広まったんだ。


恥ずかしいからやめてほしいんだけど…


あ、由来は知らないよ!


「えーっと、そうですけど……」


ふーん、と興味がありそうに顔をどんどん近づけてくる。


きれいな顔が近づいてくる。


な、なんかドキドキする。


なにがしたいのー?


「あ…の、なにか?」


あと距離は20cmくらい。


彼は急に動きを止めた。


ふぅ。止まった。


「ぷっ! 顔真っ赤!」


彼は急に笑いだした。


なんなの!


このひとは!


失礼なやつめ!


「そっちが顔近づけてくるからじゃん!」


私、人見知りだから男の人とこんな顔近づけた事ないし!


「さすがかぐや姫! 可愛いな」


……な、なんて?


か、可愛い…?


いやいやこの人目おかしいの?


「なにいってんの! 私が可愛い訳ないじゃん! なに見てるの?」


すると横からちいちゃんが


「この子自覚ないのよ、海翔 」


え? いま海翔って呼び捨て?


さっきは王子って……


しかも自覚って?