「輝夜君は私の歌、どう思ったの?
さっき“綺麗”と言ったけど…」


まさかそんな返しが来るなんて思ってなかった。
俺は公園で歌っている彼女の姿に惹かれてた。
俺は彼女と目を合わせるのが怖かった。
彼女は俺の事を名前で呼ぶが俺の事を見ていなかった。
まるでどこか遠く、遥か先を眺めているような目をしてたんだ。


「声が綺麗だった。
なんか、こう、心にグッとくるような感じだった」


そう俺が答えた時、美春は悲しそうな、寂しそうな顔をしたんだ。
その時どうしようもなく守りたくなってとっさに抱きしめてしまったんだ。
そしたら美春が泣き出してさ…


「私の歌声は無価値なの」


そう言ったんだ。