私は数学の教科書を開き、勉強を始める。

次の定期考査の範囲は三角関数だ。
関数は私の苦手としている単元だ。


「笹本君、ここ分かる?」

遠慮がちに尋ねる。

「ああ、これは…」

笹本君は優しく教えてくれた。


チラッと顔を見ると目が合い、恥ずかしくてすぐに目をそらす。


「……優成!俺も教えて!」

寺坂君が笹本君に話しかける。

「ああ、いいよ。三人でやるか。」

「……うん」

と乗り気じゃないように寺坂君は答えた。