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駅に向かっている途中。
「いいのが決まって良かった。お前のおかげだよ。ありがとな。」
と言って笹本君は持っているプレゼントを持ち上げて言った。
「ううん、楽しかったよ!」
「それでさ…」
突然笹本君が、ガサガサと自分のバッグを漁る。
「ほら。」
そう言って、私の方に何かを投げた。
「…わっ。え、なに?」
私がびっくりして笹本君の方を見ると、なんだか楽しそうにこちらを見ていた。
「開けてみ。」
ドキドキしながらさっき笹本君が投げた袋を開けてみる。
これって…
中身を見るとさっき私がお店で可愛いと言っていたヘアピンだった。
「…さっき、可愛いって言ってたから。」
ちょっと照れたような顔をして笹本君は私の感想を待っている。
「うん…!かわいい!買ってくれたんだ…。」
私が歓喜して言うと、そっぽを向いて
「まぁな。」
と言った。
まさか、私にも買ってくれてるなんて思ってもみなかった。
どうしよう、本当に嬉しい!
好きな人からの始めてのプレゼント。
大事にしていこう…。
そういえば、さっきまであのカチューシャが誰に渡されるのかとか、ゴチャゴチャ考えてたけど…もうそんなのどうでもいいや。
「本当にありがとう!」
私が笑顔で言うと、笹本君は嬉しそうに笑ってくれたのだった。

