「気にしないで、いつもお世話になってるんだから私にも何かさせてよ」
と言って、佐久間さんは帰っていった。
改めて連絡してきた佐久間さんは、過剰な花の半分を引き取ってくれると言ってくれた。
本当に嬉しい言葉に涙が出そうになる。
私たちの様子を不審に思った佐久間さんが、こっそりと岩倉君に訊ねたらしい。事情を話してしまった岩倉君にも感謝すべきかもしれない。
残りの半分はどうしようかと悩んでいると、閉店間際に山中さんから連絡があった。
会場を確保できたという。
以前にジュエリー部門が展示会を開いたショッピングモールの多目的ホールが、運良く空いていたらしい。
山中さんも嬉しそうだったと、電話を受けた高杉さんが言う。
「この前の展示会のリベンジだね、今度は私たちが主役だから頑張るよ」
高杉さんの号令で、すぐに製作に取り掛かる。
展示会の開催は二日後、新たな目標のおかげで塞ぎこんでいた気持ちが軽くなった。

